インタビュー
ゆうぼくインタビュー
愛媛県西予市に広がる歯長峠に位置する牛舎。
牛の赤身を最大限に引き出した無農薬・無添加のはなが牛を生産する
牧場で進化を続ける技法とこだわりを伺いました。
食品安全への使命感が生んだ信頼の「はなが牛」ブランド
"ゆうぼく"の牧場は
どのような過程で創業に至ったのでしょうか?
今の社長は2代目ですが、初代の社長は元々北海道で不動産系をしており、その後愛媛に帰ってきて、野菜などを育て始めたそうです。「ゆうぼく」という会社が、牧場や1次産業を始めたのが約40年前ぐらいで、そこから少しずつ精肉店や加工品が始まりました。
化学調味料などの科学的アレルギーが出てしまうことがあり、安心安全の食材を作ろうと考えたのが始まりです。初代社長が農薬を野菜に撒いた後に飲むビールが不味く感じたことから、薬を使わない事へのこだわりが生まれました。
最初から牛一本で始めたわけではないと聞きました。
最初は、野菜や鶏など複数の一時生産業をしていましたが、2頭の牛を飼うことをきっかけに畜産事業を始めました。最近では、生産から販売まですべて管理しています。この、6次産業を行っているところは大きな特徴の1つですね。
最先端の管理システムを駆使した
効率的な肥育環境
少ない人数で多くの牛を管理しているとのことですが、
具体的にどのような環境なのでしょうか。
非常にシステマチックに管理していますね。具体的には、牧場ではクラウドサービスとスマートファーム技術を活用しています。スマートファーム技術とは、スマートフォンを使用して牛1頭1頭のデータを管理し、牛たちのストーリーを記録していくこと。このシステムを使って、牛たちの性格、健康、特徴などの細かいステータスを把握し、それぞれに合った管理ができるように配慮しています。少ない人数でも一頭一頭と向き合うためには、効率化が重要だと考えています。
すごいですね…!
もう少し詳しく伺ってもよろしいでしょうか。
はい。牛たちの性格、病歴、食事状況、行動パターン、健康情報など、個々のデータを細かく記録しています。これにより牛1頭1頭の成長と健康状態を追跡できます。牛たちがどのように成長し、どのようなストーリーを持つかをトラッキングし、必要なケアを提供するのに役立てているのです。
餌への徹底的な配慮。
安心を担保する「はなが牛」ブランド
一頭一頭にパーソナライズされた育て方なのですね。
この観点は、餌にも活きていると?
もちろんです。牛たちにはこだわりの飼料のみを与えて育て、餌の配合も細かく管理しています。当然、その内容の改良も定期的に欠かしません。餌への徹底的な配慮は我々が最も気をつけていることのひとつですから。
餌への徹底的な配慮とは
具体的にどのようなこだわりなのでしょうか?
主に3つのこだわりがありますね。まず第一に、「基本的には地元の食材を与える」こと。
きな粉、お米などですね。特にお米は西予市産のものを使用しています。お肉の味が濃くなるんですよね。また、麦わらや稲わら等の粗飼料も地元の農家さんから仕入れています。地元の食材を使用することで、地域経済を支援し、地産地消にも貢献することが狙いです。
次に、「オリジナルの配合飼料を成長に応じて与えていくこと」にもこだわっています。
飼料には麦わらや稲わらなどの粗飼料も含まれていますが、飼料自体の配合は品種ごとに異なり、仔牛の成長段階に応じて変更していきます。また、安全性の観点から遺伝子組み換えでない飼料も使っていますね。農家からもらった米ぬかなどです。品質の向上のためには妥協したくありません。
最後に、「モネンシンという成長促進剤を使用せず自然な成長を尊重すること」も心がけています。お肉の自然な味わいを引き出し、赤身を美味しく食べられるようにしたいからです。肉質にダイレクトに影響を及ぼす要素には最大限の配慮をしていますね。
なるほど…!
ダイレクトに肉質に影響を
与えることで赤身が美味しく食べられると…!
ええ、やはりお肉の美味しさは「赤身」の美味しさですから。アミノ酸のうま味を醸成すると、赤身がとても美味しく食べられるようになるんですよ。ですから、非常に細かなこだわりを持って餌を与えています。
要は、地元の食材を使って添加物に頼らない自然なかたちで育てることが牛を美味しくすると考えています。安心感もありますからね。
また、牛のフンを堆肥にして地元の農家さんに提供し、その土壌を肥沃としてご利用いただいています。そこで育った地元の農産物を牛が食べるサイクルを維持することで、地域循環型農法も実践させていただいています。地元の食材と土壌の健康に貢献し、地域の風土や質の高い食材を通じて、「はなが牛」独自のお肉の風味が出来上がっているのです。
良さを生かした
「はなが牛」ならではの美味しさ
赤身にギュッとうま味が詰まった
牛肉はとても美味しそうです。
牛ごとの特徴を把握してそれぞれの
美味しさを引き出しているわけですね。
間違いないですね。例えばサシが少なめの牛も、その特徴を活かして、赤身の美味しさを引き引き出しています。これは赤身肉のアミノ酸が強調されるからであり、行き着くところは「牛肉の味わい」を深めることに繋がるわけなんですね。
ですから、繰り返しにはなりますが、牛たちが個別の性格や食事習慣を持っていることを受け入れ、それぞれの特性に合ったケアをすることはとても大事なことです。個体ごとの最適な育成環境や餌の配合は違いますから。牛一頭一頭に個別の「ストーリー」があると考え、愛情を込めて、健康的な成長のお手伝いをしています。そして、それは食肉のストーリーとしてお客様にも知っていただきたい魅力なんです。
はなが牛の
「美味しさの秘密」を教えてください。
まとめると、餌にモネンシン(成長促進剤)を使用しないことでお肉に余計な物質が含まれていません。地元の食材を中心に、自社で配合した飼料を使っているので、肉の旨味が増し、日本料理にも適しています。
更にお肉を3週間以上熟成させているので、柔らかくて風味豊かな味わいを生んでいます。極端にサシが入らないので、赤身そのものの味わいが深く、上質な牛肉として食べていただけるかと思います。
最後にこれから「はなが牛」を
食べるお客様に一言お願いします!
「はなが牛」を通じて、安心と安全、そして美味しさを味わってください。私たちは牧場からお肉を提供する過程で個体差を尊重し、自然な育成環境を大切にしています。お肉の背景には牛たちの個々のストーリーがあり、その繋がりが美味しさを生み出しています。ぜひ、あなたの食卓に「はなが牛」のおいしいお肉を。我々の想いを共有できることを願っています。どうぞお楽しみください!
ふじ匠は実際にこだわりの牛を育てている現地に足を運ぶ仕入れを徹底し、
厳選した上質なお肉を提供しています。