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インタビュー

深川養鶏農業協同組合インタビュー

深川養鶏農業協同組合×長州黒かしわ

山口県長門市の海に面した山奥にひっそりとたたずむ鶏舎。
山口県初の地鶏、長州黒かしわを生産・販売する深川養鶏農業協同組合と
長門アグリストに商品へのこだわりを伺いました。

今回、ふじ匠のバイヤーがお話を伺ったのは
生産者の長門アグリスト代表取締役の末永様と
深川養鶏農業協同組合営業開発部課長代理の本田様です。

長門アグリスト様は深川養鶏農業協同組合様の
ブランド地鶏「長州黒かしわ」を専属で飼育する契約農家です。

唯一無二の扇型鶏舎で山口県初の地鶏
「長州黒かしわ」を育てる

機能と安全性を兼ね備えた「扇舎」

機能と安全性を兼ね備えた「扇舎」

末永社長はこの道に携わって何年になりますか?

この道30年強になります。 2010年頃から深川養鶏さんが「長州黒かしわ」を開発し始めていて、オリジナルブランド地鶏を作るのに試行錯誤されていました。 そこで我々が当初ブロイラーを飼っていた時に得た、いろいろなノウハウを応用し、 深川養鶏さんと一緒に一から餌の配合設計を考えるなどして現在に至ります。

変わった形の鶏舎ですね?

おそらくこのような形の鶏舎は全国でここしかないと思います。 この形の方が鶏を飼いやすく、さらに長州黒かしわの今後の活躍を祈念し、末広がりの意味も込めてこの形にしました。 なぜこの鶏舎を建てたかというと、通常の養鶏農場は鳥インフルエンザなどいろいろな病気の関係で遠くから眺めていただくことしかできません。 しかし、ここは県の保健所にもいろいろ相談して鶏舎の近くまできて直接、長州黒かしわを見てもらえるように設計にしています。

プロのノウハウを結集させ、多くの努力により誕生した山口県初のブランド地鶏

プロのノウハウを結集させ、多くの努力により誕生した山口県初のブランド地鶏

長州黒かしわとはどんな鶏でしょうか?

簡単に説明すると、国の天然記念物「黒柏鶏」をもとに三元交配をして山口県と深川養鶏で共同開発した県内初の地鶏になります。 地鶏の定義というものがありますが、1㎡辺り10羽以下、出荷日数が75日以上の在来種。 在来種と言っても血統が50%以上の昭和以前に日本に入ってきた鶏となります。 長州黒かしわは1㎡辺り8羽、出荷日数が90日で血統がなんと75%以上の在来種になり、すべて基準をクリアしています。

独自の配合飼料によって育てられた絶品の「むね肉」

鶏舎に近づいてインタビューができることは非常に珍しい

鶏舎に近づいてインタビューができることは非常に珍しい

他の地鶏と何がちがうのでしょうか?

一般的に地鶏は噛めば噛むほど味が出るって言いますが、長州黒かしわの場合はそこまで硬くなく、 程よい歯ごたえで旨味が凝縮されています。特に普通、鶏肉と言えばもも肉が美味しいと言われていますが、長州黒かしわはむね肉が美味しいんですよ。 餌にもこだわりがあって、通常配合飼料がほとんどですが、長州黒かしわは現在約60%が地元の穀物、残りの40%が配合飼料を与えています。 地元の穀物とは裸麦と大豆、小麦など、その他4種類を一定の比率にブレンドし、栄養バランスを整えて与えています。 通常、鶏肉の脂は配合飼料であれば、油脂分がベースとなった脂がつきますが、穀物を与えると非常に澄んだ脂になり、肉から出る脂もガラスープもほとんど透明です。

緑黒色に光る羽と、尾が長く気品と風格が漂う

緑黒色に光る羽と、尾が長く気品と風格が漂う

他に長州黒かしわを飼う上での特徴はありますか?

飼う環境にもこだわっています。この鶏舎は海が近いですが、山の中にあります。 あまりに暑いときは扇風機を入れますが、ほぼ自然環境のままで育てています。鶏舎には鶏と水と餌しか入れません。 薬も消毒のための石灰も入れていません。消毒って殺菌剤ですよね。菌ってすべてが悪いわけじゃなく、良い菌もいっぱいあるっていうのが私の考え方です。 優良な菌で埋め尽くせば、病原性の大腸菌などが入ってこれないんです。鶏たちの下にある敷料も5年前のものも入っています。 それだけ良い菌で埋め尽くされているということです。また鶏舎って結構臭いがすると思います。 色々な方々がこの鶏舎を訪れますが、皆さん口をそろえて臭くないって言われます。これも悪い菌がいないという証拠です。

長州黒かしわは今も進化し続けている

地元で取れた穀物中心の餌によって独自の旨みが生み出される

地元で取れた穀物中心の餌によって独自の旨みが生み出される

餌の配合などは季節や気候によって変えたりするのですか?

今年の秋から冬にかけての段階でもう少し裸麦の比率を上げようと思っているのですが、すぐすぐ簡単には変えれません。 餌の配合比率を変える段階で肉質が変わるか変わらないかを県の畜産試験場で検査しないといけません。 肉質が変わらないと証明されれば、我々の農場も餌の配合比率を初めて変えることができます。 つい適当に餌をこういう風にしようと変えてしまうと、毎回鶏の味が変わってしまう。 ブランド化っていうのはいつ食べても同じ味だということが基本中の基本です。

餌の配合比率の追及により、ブランドが作られていく

餌の配合比率の追及により、ブランドが作られていく

今までで一番苦労されたことは何ですか?

やはり鳥インフルエンザの時は大変でした。79年ぶりに日本で出た時は一番ひどかったです。 移動制限区域も広かったですし、今こそ半径3㎞制限で殺処分ですが、あの当時は半径30㎞でしたから。 でも何より風評被害が・・・。 山口県を通った肉は買うなって言われていました。 鳥インフルエンザは人間には感染しないんですが・・・。 寒い時期になると、毎年不安になります。

鶏冠があるオス(手前)はどっしりとした体格

鶏冠があるオス(手前)はどっしりとした体格

長州黒かしわを育ててきてよかったと思うことはありますか?

飼育に関しては自分たちでいろいろ決められるところがいいですね。 自分たちの配合した飼料や住みやすい鶏舎で鶏がすくすく育つと嬉しいですよ。 ブロイラーだと餌も値段もこれと決められているし、いくら我々が努力しても外部環境ですべてが決まり、 その中で売れるか売れないかの商売と戦っていかないといけないので。

強い想いとこだわりが感じられる

強い想いとこだわりが感じられる

最後にひとことメッセージをいただけますでしょうか?

長州黒かしわは第3の地鶏と言われています。全国にはたくさん美味しい地鶏があるけど、その美味しさとはまた違った新しい地鶏の味です。是非一度お召し上がりください。

深川養鶏農業協同組合

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